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標本アーカイブ

牧野標本館と牧野富太郎の精神ームジナモ野生復帰を超えて受け継がれる「知」と地域の絆

東京都立大学 牧野標本館 

はじめに

2025年、埼玉県羽生市の宝蔵寺沼で、かつて野生絶滅とされた水生植物「ムジナモ」が、地域の人々と研究者の長年の努力によって野生復帰を果たした。この快挙は、日本植物学の父・牧野富太郎博士が発見したムジナモの標本と記録が、現代の自然保全活動にどれほど重要な役割を果たしているかを示す象徴的な出来事である。

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しかし、牧野標本の価値はムジナモだけにとどまらない。また、牧野標本を収蔵する牧野標本館は、膨大な植物標本の収蔵・整理・研究・公開を通じて、地域社会や次世代との結びつきを深め、「知」と地域の絆を未来へとつないでいる。本記事では、牧野富太郎博士の精神と標本館の役割、そして現代における活動や展望について、東京都立大学 理学部生命科学科 教授 / 牧野標本館 高山浩司 館長 のお話、実際の施設紹介をもとに多角的に紹介する。

牧野標本館の歩みとコレクションの特徴

標本館設立の経緯

牧野標本館は、1958年に東京都立大学に設立される。その設立の目的は、牧野富太郎博士が生涯をかけて集めた約40万点もの植物標本を保存・活用するためである。

牧野標本館 本館外観

牧野標本館 本館外観

その後、1991年に南大沢キャンパスへ移転し、2018年には別館も建築され、現在は約50万点の標本を収蔵する、日本で5番目に大きい標本館となっている。牧野標本館 別館にある標本庫は二階建ての構造で、館内の標本庫は年間を通じて20℃~22℃、湿度も50%前後に保たれ、カビや昆虫による標本の劣化を防ぐために温湿度管理が徹底されている。

別館にある標本庫入口

別館にある標本庫入口

牧野標本館が行う標本展示コーナーと企画展

博士の功績や植物系統分類学研究室を知る

牧野標本館の本館一階には一般の方が、牧野富太郎博士の功績や採取した標本、植物画に関する展示。また多様な植物標本(乾燥標本や液浸標本など)を学び、知ることができる標本展示コーナーがある。ここでは、現在行われている東京都立大学・植物系統分類学研究室による全国の植物相や東京の絶滅危惧種などのパネル展示や関連標本も公開されており、現代も継続して植物研究が続けられていることを知ることができる。

標本展示コーナー全景

標本展示コーナー全景

牧野富太郎博士の年譜

牧野富太郎博士の年譜

植物標本の重要性と意義について

植物標本の重要性と意義について

東京都の植物相と絶滅・絶滅危惧植物の解説

東京都の植物相と絶滅・絶滅危惧植物の解説

植物研究に必要な多様な植物標本を見ることができる

植物研究に必要な多様な植物標本を見ることができる

植物の液浸標本と樹脂封入標本

植物の液浸標本と樹脂封入標本

企画展「日本の植物分類学の父」牧野富太郎が遺したもの

牧野標本館、学園祭に合わせ企画展を開催 一般非公開の標本や資料も展示

開催期間:2025年11月2日(日)〜21日(金)10:00〜17:00 
(但し11月2日・3日を除く土日祝日は閉館)
開催場所:牧野標本館 別館 TMUギャラリー
詳細は東京都立大学牧野標本館HPよりご確認ください。

牧野標本館 別館 TMUギャラリー

牧野標本館 別館 TMUギャラリー

企画展 入口からの全景

企画展 入口からの全景

東京都立大学牧野標本館は、学園祭の時期に合わせて企画展を開催している。今年度は11月2日から21日まで、同館別館のTMUギャラリーで開催されている。
今回の展示では、普段は一般公開されていない標本や資料が5つの章に分けて、それぞれのテーマごとに紹介されている。来場者は、貴重な資料を通じて牧野富太郎博士の研究や業績に触れることができる。
本記事では、展示内容の一部を紹介する。

「Chaper 1 過去から引き継ぐ」コーナー

「Chaper 1 過去から引き継ぐ」コーナー

「Chaper 2 牧野富太郎が遺したもの」コーナーには多くの標本が並ぶ

「Chaper 2 牧野富太郎が遺したもの」コーナーには多くの標本が並ぶ

牧野富太郎博士が採集した標本

牧野富太郎博士が採集した標本

「牧野富太郎が遺したもの」

「Chapter 2 牧野富太郎が遺したもの」コーナーでは、牧野富太郎博士に関連する標本だけでなく、博士が当時の子どもたちに標本作成について伝えた資料も展示されている。また、明治39(1906)年から明治44(1911)年まで雑誌「少年」で実施された「科学奨励大懸賞」では、牧野博士が出題と審査を担当。その際に全国から応募された標本は、膨大な標本を必要としていた博士の研究を支える貴重な資料となった。こうした「懸賞標本」は、現在も牧野標本館に収蔵されており、今回の展示で紹介されている。

懸賞標本に関しての掲示

懸賞標本に関しての掲示

雑誌「少年」と懸賞標本

雑誌「少年」と懸賞標本

「未来につなぐ」標本の数々

また、「Chapter 5 未来につなぐ」では、牧野博士の標本以外の植物標本コレクションも紹介されている。中でも、2023年に新たに寄贈された「横山譲二コレクション」が注目を集めている。横山譲二氏は、牧野富太郎博士の最晩年に植物採集の薫陶を受けた人物であり、その収集品は博士の研究精神を受け継ぐ貴重な資料として展示されている。

「Chapter 5未来へつなぐ」展示コーナー

「Chapter 5未来へつなぐ」展示コーナー

横山譲二氏紹介パネルと関連する牧野式 標品貯蔵箱の展示

横山譲二氏紹介パネルと関連する牧野式 標品貯蔵箱の展示

戦後、横山譲二氏は中学校教員として八丈島に赴任し、1948年から1954年にかけて八丈島や八丈小島で植物標本の採集を行った。1952年には「八丈島野生植物目録」を出版している。なお、八丈小島は1969年に無人島となり、その後はヤギによる食害で島の植物が大きく破壊された。こうした経緯から、横山氏が収集した標本や記録は、当時の八丈小島の植物相を知るうえで極めて貴重な資料であることが、展示で紹介されている。

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今回の企画展は、タイトルが示す通り、牧野富太郎博士の標本や資料にとどまらず、植物分類学の系譜をたどることができる内容となっている。会場では、博士が遺した貴重な標本や資料に加え、後世に受け継がれる植物標本コレクションも紹介。さらに、牧野標本館が担う「標本の散逸を防ぐセーフティーネット」としての役割や、貴重な植物標本を守り伝えるための取り組みについても展示されている。来場者は、植物学の歴史と未来を感じながら、標本館が果たす重要な使命について理解を深めることができる企画展となっている。

牧野富太郎博士の足跡

博士が命名した植物の学名は1,500超え

ここからは、日本の植物学の発展に大きな足跡を残した牧野富太郎博士(1862~1957)の生涯と、業績を振り返りつつ、博士が収集した膨大な植物標本が、現在の牧野標本館の核になっていることにも着目し話を進めていこう。牧野博士は西洋の近代植物学を独学で学び、日本全国の植物を調査・採集して世界に紹介したことで知られる。命名した植物の学名は1,500を超え、日本の植物分類学の基礎を築いた草分け的な存在だ。
江戸時代末期、現在の高知県佐川町に生まれ、裕福な商家の長男として育ち、寺子屋や私塾で学問に親しみながら、地元で植物採集を始めたことが植物学への道を歩むきっかけとなった。22歳で上京し、東京大学植物学教室に出入りを許されると、西洋の学術書に触れ、持ち前の図描力を生かして精密な植物画を描き続けた。

その後、『植物学雑誌』や『日本植物志図篇』などを出版し、明治26年には東京帝国大学理科大学の助手となる。名実ともに植物学者として活躍する一方、研究に私財を投じて経済的困窮に陥るなど、さまざまな苦難も経験した。それでも周囲の支えを受けて研究に没頭し、『大日本植物志』や『牧野日本植物図鑑』などの代表作を次々と発表した。
晩年まで日本各地を巡り、植物採集や観察会を一般市民とともに行うなど、植物愛好家の育成にも力を注いだ。牧野博士が収集した膨大な植物標本は、現在の牧野標本館をはじめ、世界中の標本館に収蔵され、研究や教育の現場で活用されている。94歳で亡くなるまで植物学への情熱を持ち続けた博士の足跡は、今も多くの人々に影響を与え続けている。

牧野富太郎博士 年表

⚫️ 牧野富太郎博士生涯 年表

東京都立大学 牧野標本館について

牧野標本館は1958年、東京都立大学世田谷キャンパスに設立された。牧野富太郎博士の遺族から寄贈された植物標本を基礎とし、明治から昭和にかけて日本全国で採集された新種や絶滅危惧種なども含め、学術的価値の高い標本を多数収蔵している。寄贈された約40万点の標本のうち、設立後整理がすすみ約16万点が牧野標本館に収蔵され、残りの約24万点は主に重複標本で、他館との交換標本に使われ、他の国内外問わず牧野富太郎博士が収集した標本が収蔵されている。

1991年には大学の八王子移転に伴い、標本館も移動式棚を備えた新標本庫へと移転した。2018年には別館が建築され、さらに多くの標本を収蔵できる体制が整った。国内外の標本館との交換や新規収集も活発に行われており、日本産のみならず世界各地の植物標本も多数所蔵する。近年は標本のデジタル化とインターネット公開も進み、国際的にも※1「MAK」として認知される主要標本館となっている。

※1 MAK(Makino Herbarium)は、東京都立大学牧野標本館の国際標本館略号で、世界中の植物学者が標本を参照・利用する際に使われています。MAKは、牧野富太郎博士が収集した膨大な植物標本を核として、約50万点の標本を所蔵し、国内外の研究者や教育機関に広く利用されています。標本データベースの公開や標本貸出などを通じて、植物分類学の発展や国際的な植物研究ネットワークの一翼を担っています。

⚫️ 収蔵標本の特徴

標本庫の構造と管理

牧野標本館の標本庫の入り口は、二重扉で虫の侵入を防ぐ構造になっている。館内は温度・湿度管理が徹底されており、標本の長期保存に最適な環境が保たれている。標本は電動式コンパクターに収納され、限られたスペースでも効率的に多くの標本を保存できる仕組みだ。

標本は、最新のDNA分類体系に基づいて配置されている。

標本庫

標本庫

⚫️ ジーナスカバー内の色紙で標本管理

標本の保存方法も特徴的で、牧野標本は緑色のカバー、小笠原諸島で採集された標本は黄色いカバー、そしてタイプ標本は赤いビニール袋に入れて管理されている。これらのカバーによって標本の由来や重要性を一目で判別できるよう工夫されている。

ジーナスカバー内の色紙による標本管理

ジーナスカバー内の色紙による標本管理

タイプ標本は赤色のビニール袋に収められている

タイプ標本は赤色のビニール袋に収められている

牧野富太郎博士の精神と現代への継承

 牧野富太郎博士は「無尽蔵に植物を集め、標本を作製する」ことを生涯の信念とした。その目的は、植物の多様性や生態をより深く理解し、後世に伝えることにあった。この精神は、現在の標本館運営や研究活動にも受け継がれている。髙山館長は「私たちも博士と同じく、現地の研究者や地域の人々と交流しながら、植物への理解を深めている」と語る。

現地調査では、まず最初に現地の研究者にコンタクトをして情報を調べ、調査が始まる前には標本館に寄り標本の確認を行う。そこでラベル情報から分布や生育環境を把握し、現地の人々と協力しながら研究を進めている。こうした現場主義と地域との連携は、牧野博士の精神そのものであり、標本館の活動の根幹をなしている。

採集時の標本の状態

採集時の標本の状態

標本館に寄贈された当時の牧野標本は、新聞紙に束ねられた状態で保存されていた。ただ、新聞紙には採集場所や年、植物名などが筆で記載されていることもあり、これらの情報を手がかりに、標本のラベル作成と台紙への貼付け作業が進められた。情報が不十分な標本も多く、博士の行動録や手紙などを元に長い時間をかけて整理されてきた。

タカノホシクサ 記載ラベル

タカノホシクサ 記載ラベル

牧野富太郎 植物採集行動録

牧野富太郎 植物採集行動録

牧野標本館収蔵標本の紹介

貴重なタイプ標本

タイプ標本とは、植物の名前を付ける際の基準となる標本で、分類学や自然科学において不可欠な存在である。牧野標本館には1,000点を超えるタイプ標本が収蔵されている。これらは植物の学名の妥当性や再検証を可能にし、分類学の根幹を支える「証拠」として非常に重要だ。

タイプ標本は特に慎重に扱われ、100年、200年と長期にわたって保存されるため、標本の取り扱いには細心の注意が払われている。

 牧野富太郎博士と絶滅危惧植物の保全

牧野富太郎博士が発見・記録した植物の中には、現在「絶滅・絶滅危惧種」として環境省レッドリストに登録されているものが多数存在する。これらの植物は、地域の自然環境の変化や人為的影響によって個体数が減少し、保護活動の必要性が高まっているのが現状だ。各地ではそれらの保全活動も行われている。牧野博士の業績は、今も日本の生物多様性保全に大きく貢献していると言える。

また、牧野博士が採集した標本の中には、既に絶滅してしまった植物も含まれている。例えば、タカノホシクサや野生絶滅から復帰したムジナモなど、標本が残っていることで「本当にその植物が地球上にいた」という証明が可能となり、保全活動の根拠としても活用されている。
ここからは、牧野富太郎博士が発見した植物標本を貴重なタイプ標本と各地域のレッドデータの状況(注釈1「日本のレッドデータ検索システムを利用)と合わせて紹介していく。

注釈1「日本のレッドデータ検索システム」について

「日本のレッドデータ検索システム」は、NPO法人 野生生物調査協会とNPO法人 Envision環境保全事務所が作成、運営を行い全国のレットデータベースの状況を検索できる。
URL:https://jpnrdb.com/index.html 

全国採集地別地図(掲載標本分)

※地図上のポイントは正確な採集地を示すものでありません

1 アテツマンサク (採集地:岡山県)

1914年、牧野富太郎博士によって岡山県新見市の阿哲郡で発見された「アテツマンサク」は、新見市指定の天然記念物となっている希少植物。現在、環境省のレッドリストでは「準絶滅危惧種」に指定されている。

環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類 (VU) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 .

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
鳥取 7. その他(都道府県独自のカテゴリなど) その他の保護上重要な種(OT) 鳥取県の絶滅のおそれのある野生動植物種のリスト , 2022 .
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2 ミカワタヌキモ(採集地:愛知県)

1899年に名倉誾一郎氏が、愛知県幡豆郡豊坂村須美(現:額田郡幸田町)で採取した個体を1913年に牧野博士がミカワタヌキモ:Utricularia nagurae Makinoとして献名・記載。

環境省のレッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」に指定されている。

環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類 (VU) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 .

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
岐阜2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧Ⅰ類岐阜県の絶滅のおそれのある野生生物(植物編)改訂版 -岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版- , 2014 .
静岡2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN)静岡県版レッドリスト , 2020 .
愛知2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN)レッドデータブックあいち2020 , 2020 .
三重2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN)三重県レッドデータブック2015 -三重県の絶滅のおそれのある野生生物- , 2015 .
滋賀4. 準絶滅危惧希少種滋賀県で大切にすべき野生生物-滋賀県レッドデータブック2020年版- , 2021 .
京都2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅寸前種京都府改訂版レッドリスト2022(シダ植物・種子植物) , 2022 .
兵庫2. 絶滅危惧Ⅰ類Aランク兵庫県版レッドデータブック2020(植物・植物群落) , 2020 .
奈良1. 絶滅絶滅種奈良県版レッドデータブック 2016 改訂版 , 2016 .
和歌山2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN)和歌山県レッドデータブック「2022年改訂版」 , 2022 .
島根5. 情報不足情報不足 (DD)改訂しまねレッドデータブック2013 植物編 ~島根県の絶滅のおそれのある野生植物~ , 2013 .
広島4. 準絶滅危惧準絶滅危惧 (NT)絶滅のおそれのある野生生物(第4版) レッドデータブックひろしま2021 , 2022 .
福岡2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠA類 (CR)福岡県レッドデータブック2011(改訂版) , 2011 .
佐賀2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧Ⅰ類種佐賀県レッドリスト2020 植物編 , 2020 .
長崎2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN)長崎県レッドリスト2022 , 2022 .
熊本2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠA類 (CR)レッドデータブックくまもと2019-熊本県の絶滅のおそれのある野生動植物 , 2019 .
大分3. 絶滅危惧Ⅱ類絶滅危惧Ⅱ類 (VU)レッドデータブックおおいた2022 大分県の絶滅のおそれのある野生生物 , 2022 .
宮崎2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠA類 (CR-r,g,d)三訂・宮崎県版レッドデータブック(2020) , 2022 .
鹿児島2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧Ⅰ類維管束植物・藻類(平成27年度改訂) , 2016 .
沖縄3. 絶滅危惧Ⅱ類絶滅危惧Ⅱ類 (VU)改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-菌類編・植物編- , 2018 .
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3 ナハエボシグサ (採集地:沖縄(現行名:ミツバノコマツナギ)

採集場所は現在の沖縄県。標本は黒岩恒氏によって採集され、ナハエボシグサのレクトタイプとして指定。現在はミツバノコマツナギと同定されている種。1895年に『Botanical Magazine, Tokyo(植物学雑誌)』第9巻283ページ記載。

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
鹿児島 4. 準絶滅危惧 準絶滅危惧 維管束植物・藻類(平成27年度改訂) , 2016 .
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4 ヤマトグサ(採集地:高知県)

1888年に小学校教師・渡辺荘兵衛氏が採集した標本。日本人研究者が始めて日本の学術雑誌に発表したタイプ標本となった。全国各地で、絶滅危惧種に指定されている。

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
秋田2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧種ⅠB類 (EN)秋田県の絶滅のおそれのある野生生物 秋田県版レッドデータブック2014-維管束植物- , 2014 .
山形3. 絶滅危惧Ⅱ類絶滅危惧種Ⅱ類 (VU)山形県レッドリスト(植物版) , 2014 .
茨城2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠA類茨城県レッドリスト<植物編> , 2012 .
千葉2. 絶滅危惧Ⅰ類最重要保護生物 (A)千葉県レッドデータブック植物・菌類編2023改訂版 , 2023 .
新潟6. 絶滅の恐れのある地域個体群地域個体群 (LP)第2次レッドリスト植物(維管束植物及びコケ植物)編 , 2014 .
山梨3. 絶滅危惧Ⅱ類絶滅危惧Ⅱ類 (VU)2018山梨県レッドデータブック 山梨県の絶滅のおそれのある野生生物 , 2018 .
岐阜4. 準絶滅危惧準絶滅危惧岐阜県の絶滅のおそれのある野生生物(植物編)改訂版 -岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版- , 2014 .
三重2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN)三重県レッドデータブック2015 -三重県の絶滅のおそれのある野生生物- , 2015 .
滋賀7. その他(都道府県独自のカテゴリなど)分布上重要種滋賀県で大切にすべき野生生物-滋賀県レッドデータブック2020年版- , 2021 .
大阪4. 準絶滅危惧準絶滅危惧大阪府レッドリスト2014 , 2014 .
兵庫2. 絶滅危惧Ⅰ類Aランク兵庫県版レッドデータブック2020(植物・植物群落) , 2020 .
奈良3. 絶滅危惧Ⅱ類絶滅危惧種奈良県版レッドデータブック 2016 改訂版 , 2016 .
和歌山2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN)和歌山県レッドデータブック「2022年改訂版」 , 2022 .
岡山2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧Ⅰ類岡山県版レッドデータブック2020 , 2020 .
山口3. 絶滅危惧Ⅱ類絶滅危惧Ⅱ類 (VU)レッドデータブックやまぐち2019 山口県の絶滅のおそれのある野生生物 , 2019 .
徳島2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠA類 (CR)徳島県版レッドリスト(改訂版) , 2014 .
熊本2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN)レッドデータブックくまもと2019-熊本県の絶滅のおそれのある野生動植物 , 2019 .
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5 オオクマヤナギ(採集地:高知県)

1892年、現在の高知県安芸市栃ノ木で、牧野富太郎博士が採取したオオクマヤナギの標本。 ラベル記載の学名「Berchemia magna Koidz.」の記述から(写真下) 日本の植物分類学の基礎を築いた一人 小泉源一博士に関連した種であることもがわかる。

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
千葉2. 絶滅危惧Ⅰ類最重要保護生物 (A)千葉県レッドデータブック植物・菌類編2023改訂版 , 2023 .
兵庫4. 準絶滅危惧Cランク兵庫県版レッドデータブック2020(植物・植物群落) , 2020 .
徳島3. 絶滅危惧Ⅱ類絶滅危惧Ⅱ類 (VU)徳島県版レッドリスト(改訂版) , 2014 .
愛媛2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN)愛媛県レッドリスト2022 , 2022 .
鹿児島4. 準絶滅危惧準絶滅危惧維管束植物・藻類(平成27年度改訂) , 2016 .
 
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6 サダソウ(採集地:高知県)

 

1886年に現在の高知県須崎市で永沼小一郎氏により採取された、サダソウはコショウ科の植物で牧野富太郎が1901年に学名を発表した。

 ・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
愛媛5. 情報不足情報不足 (DD)愛媛県レッドリスト2022 , 2022 .
高知2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN)高知県レッドデータブック2022 植物編 , 2022 .
大分3. 絶滅危惧Ⅱ類絶滅危惧Ⅱ類 (VU)レッドデータブックおおいた2022 大分県の絶滅のおそれのある野生生物 , 2022 .
宮崎2. 絶滅危惧Ⅰ類絶滅危惧ⅠB類 (EN-r,g)三訂・宮崎県版レッドデータブック(2020) , 2022 .
鹿児島4. 準絶滅危惧準絶滅危惧維管束植物・藻類(平成27年度改訂) , 2016 .
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7トサザクラ(現行和名:イワザクラ)

1890年4月4日、高知県吾川郡吾川村(現在の高知県内)で渡辺協氏によって採集。サクラソウの仲間の一種、地域によっては絶滅危惧種に指定されている。

環境省カテゴリ:準絶滅危惧 (NT) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 .

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

ガシャモクのレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
岐阜 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 岐阜県の絶滅のおそれのある野生生物(植物編)改訂版 -岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版- , 2014 .
三重 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 (VU) 三重県レッドデータブック2015 -三重県の絶滅のおそれのある野生生物- , 2015 .
奈良 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅寸前種 奈良県版レッドデータブック 2016 改訂版 , 2016 .
徳島 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR) 徳島県版レッドリスト(改訂版) , 2014 .
愛媛 5. 情報不足 情報不足 (DD) 愛媛県レッドリスト2022 , 2022 .
高知 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 (VU) 高知県レッドデータブック2022 植物編 , 2022 .
熊本 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR) レッドデータブックくまもと2019-熊本県の絶滅のおそれのある野生動植物 , 2019 .
大分 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR) レッドデータブックおおいた2022 大分県の絶滅のおそれのある野生生物 , 2022 .
宮崎 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR-r,g,d) 三訂・宮崎県版レッドデータブック(2020) , 2022 .
鹿児島 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類 維管束植物・藻類(平成27年度改訂) , 2016 .
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8 ヒメヒサカキ

1909年9月牧野富太郎博士によって鹿児島県屋久島で採取されたツバキ科の植物。標本は何十年もかけて多くの研究者の手により整理・研究されていることがラベルからもわかる。

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
鹿児島 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 維管束植物・藻類(平成27年度改訂) , 2016 .
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9 ミヤコジマツヅラフジ 

1910年、中野與右衛門氏により現在の鹿児島県鹿児島市で採集された雌の標本でのちに牧野博士により発表された。

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
愛媛 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠB類 (EN) 愛媛県レッドリスト2022 , 2022 .
福岡 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 (VU) 福岡県レッドデータブック2011(改訂版) , 2011 .
熊本 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠB類 (EN) レッドデータブックくまもと2019-熊本県の絶滅のおそれのある野生動植物 , 2019 .
大分 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠB類 (EN) レッドデータブックおおいた2022 大分県の絶滅のおそれのある野生生物 , 2022 .
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10 アワジケイヌビワ(現行名:ケイヌビワ) 

1943年9月兵庫県 淡路島にて採集された標本で現行ではケイヌビワと呼ばれている。

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
鹿児島 4. 準絶滅危惧 準絶滅危惧 維管束植物・藻類(平成27年度改訂) , 2016 .
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11 サクライソウ(採集地:岐阜県)

1903年7月27日に岐阜県恵那郡(美濃・恵那山麓)で櫻井半三郎氏によって採集されたサクライソウ:Miyoshia sakuraii Makino のホロタイプ標本。原記載は1903年『Botanical Magazine, Tokyo』(植物学雑誌)第17巻145ページ発表。

環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類 (EN) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 .

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
石川 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類 (CR+EN) いしかわレッドデータブック2020 , 2020 .
福井 2. 絶滅危惧Ⅰ類 県域絶滅危惧Ⅰ類 改訂版 福井県の絶滅のおそれのある野生動植物 , 2016 .
長野 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR) 長野県版レッドリスト(植物編)2014 , 2014 .
岐阜 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類 岐阜県の絶滅のおそれのある野生生物(植物編)改訂版 -岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版- , 2014 .
愛知 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR) レッドデータブックあいち2020 , 2020 .
京都 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅寸前種 京都府改訂版レッドリスト2022(シダ植物・種子植物) , 2022 .
鹿児島 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類 維管束植物・藻類(平成27年度改訂) , 2016 .
ma_0A6A9770

12 ナガバノウナギツカミ(採集地:東京都)

1909年に現在の東京板橋区にて、牧野富太郎博士が採集。現在、東京では絶滅したとされる種。そのほか、山形県、埼玉県、神奈川県でも絶滅とされ、その他の地域でも絶滅危惧種に指定されている。環境省レッドリストでは準絶滅危惧種(NT)とされている。

環境省カテゴリ:準絶滅危惧 (NT) 環境省レッドリスト2020 , 2020 .

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
宮城 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 (VU) 宮城県の希少な野生動植物-宮城県レッドリスト2023年版- , 2023 .
秋田 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧種ⅠB類 (EN) 秋田県の絶滅のおそれのある野生生物 秋田県版レッドデータブック2014-維管束植物- , 2014 .
山形 1. 絶滅 絶滅 (EX) 山形県レッドリスト(植物版) , 2014 .
福島 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧種ⅠA類 (CR) ふくしまレッドリスト(2022年版) , 2022 .
茨城 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 茨城県レッドリスト<植物編> , 2012 .
栃木 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 (Bランク) 栃木県版レッドリスト(第4次/2023年版) , 2023 .
群馬 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR) 植物レッドリスト(2023年部分改訂版) , 2023 .
埼玉 1. 絶滅 絶滅 (EX) 埼玉県レッドリスト2011 植物編 , 2011 .
千葉 2. 絶滅危惧Ⅰ類 重要保護生物 (B) 千葉県レッドデータブック植物・菌類編2023改訂版 , 2023 .
東京 1. 絶滅 絶滅 (EX) 東京都レッドデータブック(本土部)2023 , 2023 .
神奈川 1. 絶滅 絶滅 (EX) 神奈川県レッドデータブック2022 植物編 , 2022 .
新潟 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類 (EN) 第2次レッドリスト植物(維管束植物及びコケ植物)編 , 2014 .
石川 5. 情報不足 情報不足 (DD) いしかわレッドデータブック2020 , 2020 .
岐阜 4. 準絶滅危惧 準絶滅危惧 岐阜県の絶滅のおそれのある野生生物(植物編)改訂版 -岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版- , 2014 .
静岡 7. その他(都道府県独自のカテゴリなど) 要注目種:部会注目種(N-Ⅲ) 静岡県版レッドリスト , 2020 .
愛知 4. 準絶滅危惧 準絶滅危惧 (NT) レッドデータブックあいち2020 , 2020 .
三重 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 (VU) 三重県レッドデータブック2015 -三重県の絶滅のおそれのある野生生物- , 2015 .
滋賀 4. 準絶滅危惧 希少種 滋賀県で大切にすべき野生生物-滋賀県レッドデータブック2020年版- , 2021 .
京都 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧種 京都府改訂版レッドリスト2022(シダ植物・種子植物) , 2022 .
大阪 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 大阪府レッドリスト2014 , 2014 .
兵庫 3. 絶滅危惧Ⅱ類 Bランク 兵庫県版レッドデータブック2020(植物・植物群落) , 2020 .
奈良 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅寸前種 奈良県版レッドデータブック 2016 改訂版 , 2016 .
徳島 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 (VU) 徳島県版レッドリスト(改訂版) , 2014 .
香川 5. 情報不足 情報不足 (DD) 香川県レッドデータブック2021 , 2021 .
高知 4. 準絶滅危惧 準絶滅危惧 (NT) 高知県レッドデータブック2022 植物編 , 2022 .
福岡 4. 準絶滅危惧 準絶滅危惧 (NT) 福岡県レッドデータブック2011(改訂版) , 2011 .
佐賀 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類種 佐賀県レッドリスト2020 植物編 , 2020 .
熊本 5. 情報不足 情報不足 (DD) レッドデータブックくまもと2019-熊本県の絶滅のおそれのある野生動植物 , 2019 .
宮崎 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR-r,g,d) 三訂・宮崎県版レッドデータブック(2020) , 2022 .
鹿児島 4. 準絶滅危惧 準絶滅危惧 維管束植物・藻類(平成27年度改訂) , 2016
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13 ウラジロウコギ(採集地:高知県)

1891年10月6日、高知県高岡郡仁淀村黒滝山で牧野富太郎博士が採集したウラジロウコギ:Acanthopanax hypoleucus Makino のシンタイプ標本。原記載は1898年『Botanical Magazine, Tokyo』第12巻18-20ページ記載。

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
埼玉 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR) 埼玉県レッドリスト2011 植物編 , 2011 .
東京 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR) 東京都レッドデータブック(本土部)2023 , 2023 .
岐阜 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類 岐阜県の絶滅のおそれのある野生生物(植物編)改訂版 -岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版- , 2014 .
滋賀 5. 情報不足 要注目種 滋賀県で大切にすべき野生生物-滋賀県レッドデータブック2020年版- , 2021 .
奈良 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧種 奈良県版レッドデータブック 2016 改訂版 , 2016 .
鳥取 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 (VU) 鳥取県の絶滅のおそれのある野生動植物種のリスト , 2022 .
島根 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類 (CR+EN) 改訂しまねレッドデータブック2013 植物編 ~島根県の絶滅のおそれのある野生植物~ , 2013 .
徳島 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR) 徳島県版レッドリスト(改訂版) , 2014 .
愛媛 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 (VU) 愛媛県レッドリスト2022 , 2022 .
高知 3. 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 (VU) 高知県レッドデータブック2022 植物編 , 2022 .
熊本 4. 準絶滅危惧 準絶滅危惧 (NT) レッドデータブックくまもと2019-熊本県の絶滅のおそれのある野生動植物 , 2019 .
大分 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠB類 (EN) レッドデータブックおおいた2022 大分県の絶滅のおそれのある野生生物 , 2022 .
宮崎 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR-r,g,d) 三訂・宮崎県版レッドデータブック(2020) , 2022 .
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14 ムジナモ(採集地:東京都)

1890年、牧野富太郎博士が東京都の江戸川河畔で日本初発見したムジナモは、現在は埼玉県羽生市で野生復帰した。この標本は、かつて都内でもムジナモが自生できる環境が存在した証拠。全国の多くで絶滅種に指定されている。

環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠA類 (CR) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 .

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
茨城 1. 絶滅 絶滅 茨城県レッドリスト<植物編> , 2012 .
群馬 1. 絶滅 野生絶滅 (EW) 植物レッドリスト(2023年部分改訂版) , 2023 .
埼玉 1. 絶滅 野生絶滅 (EW) 埼玉県レッドリスト2011 植物編 , 2011 .
千葉 1. 絶滅 消息不明・絶滅生物 (X) 千葉県レッドデータブック植物・菌類編2023改訂版 , 2023 .
東京 1. 絶滅 絶滅 (EX) 東京都レッドデータブック(本土部)2023 , 2023 .
新潟 1. 絶滅 絶滅 (EX) 第2次レッドリスト植物(維管束植物及びコケ植物)編 , 2014 .
三重 1. 絶滅 絶滅 (EX) 三重県レッドデータブック2015 -三重県の絶滅のおそれのある野生生物- , 2015 .
京都 1. 絶滅 絶滅種 京都府改訂版レッドリスト2022(シダ植物・種子植物) , 2022 .
奈良 7. その他(都道府県独自のカテゴリなど) 注目種 奈良県版レッドデータブック 2016 改訂版 , 2016 .
広島 5. 情報不足 情報不足 (DD) 絶滅のおそれのある野生生物(第4版) レッドデータブックひろしま2021 , 2022 .
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15 タカノホシクサ(採集地:群馬県)

1909年、高野貞助氏が群馬県多々良沼で発見し、翌年牧野博士が命名した種、学術誌で注目され乱獲や生育環境の悪化が重なり、1950年代には日本から消滅したといわれている。環境省のレッドリストでは絶滅に指定されている。

環境省カテゴリ:絶滅 (EX) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 .

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
群馬 1. 絶滅 絶滅 (EX) 植物レッドリスト(2023年部分改訂版) , 2023 .
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16 ガシャモク

1905年に千葉県手賀沼で採集されたシンタイプ標本、茨城県、群馬県、神奈川県で絶滅種になっている環境省カテゴリでも絶滅危惧ⅠA類 (CR)にランクされ注目されている種。

環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠA類 (CR) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 .

・引用サイト:日本のレッドデータ検索システム https://jpnrdb.com/index.html

都道府県のレッドデータ指定状況
都道府県 RDBカテゴリ 文献上のカテゴリ 参考文献
青森 2. 絶滅危惧Ⅰ類 最重要希少野生生物 (Aランク) 青森県レッドデータブック(2020年版)について , 2020 .
茨城 1. 絶滅 絶滅 茨城県レッドリスト<植物編> , 2012 .
群馬 1. 絶滅 絶滅 (EX) 植物レッドリスト(2023年部分改訂版) , 2023 .
千葉 2. 絶滅危惧Ⅰ類 重要保護生物 (B) 千葉県レッドデータブック植物・菌類編2023改訂版 , 2023 .
神奈川 1. 絶滅 絶滅 (EX) 神奈川県レッドデータブック2022 植物編 , 2022 .
滋賀 5. 情報不足 要注目種 滋賀県で大切にすべき野生生物-滋賀県レッドデータブック2020年版- , 2021 .
福岡 2. 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧ⅠA類 (CR) 福岡県レッドデータブック2011(改訂版) , 2011 .
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近代植物学の源流に迫る植物標本

牧野標本館のコレクションの中には、シーボルトが日本で採集した標本も含まれている。
シーボルト(Philipp Franz von Siebold)は、19世紀前半に来日したドイツ出身の医師・博物学者。ヴュルツブルク大学で医学を学び、23歳に長崎・出島に赴任した。約6年間の滞在中、日本の植物や動物、文化を詳細に調査・収集し、多くの標本や資料をヨーロッパにもたらした。1829年には日本を離れることになるが、1859年に再来日し1962年に帰国している。
シーボルトは特に植物学の分野で大きな業績を残し、『日本植物誌』などを出版している。

牧野標本館にあるシーボルトコレクションの標本は、オランダのライデン博物館やロシアのコマロフ研究所を経て、交換標本などを通し牧野標本館へと移された。

標本は小箱に入れて管理されている(中央)

標本は小箱に入れて管理されている(中央)

シーボルトコレクションは小箱に入れて管理されており、助手のビュルガーが集めた稲の標本やオキナグサ、小野蘭山が採集した蘭紅梅など、貴重な標本が多数含まれている。台紙には独特の線が引かれ、データが記録されているなど、当時の植物学研究の工夫も見て取れる。

助手のビュルガーが集めた稲の標本

助手のビュルガーが集めた稲の標本

牧野標本館で最も古い小野蘭山が採集したダンコウバイ標本、1830年より以前のもの

牧野標本館で最も古い小野蘭山が採集したダンコウバイ標本、1830年より以前のもの

シーボルトが現在の長崎県稲佐山で採集されたオキナグサ

シーボルトが現在の長崎県稲佐山で採集されたオキナグサ

標本の台紙には独特の線が引かれている

標本の台紙には独特の線が引かれている

牧野富太郎の図譜と文献資料

牧野博士は「大日本植物誌」などの図鑑を編纂し、精細な植物画を多数残した。これらの図譜は、写真では表現しきれない微細な構造や季節ごとの変化をスケッチとして記録したものであり、植物学研究において極めて重要な資料である。原図や印刷物も標本館に保存されており、分布情報や記載文献とともに、植物の生態や歴史を知る手がかりとなっている。

「大日本植物誌」の記載セイシカ

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NHK朝の連続ドラマ「らんまん」を通じて

牧野富太郎博士がモデルとなった、NHKドラマ「らんまん」放送後について、高山館長は「植物分類学への関心が高まり、文化祭の標本展示には多くの来場者が訪れるなど、普及活動にも大きな反響があった。」と語り、標本館では一般市民向けの展示や講演、ワークショップが行われ、植物標本の意義や楽しさを広く伝えられていた。

 地域社会との連携と保全活動

牧野標本館は、地域の団体や学校、市民との連携にも力を入れている。例えば、ムジナモの野生復帰プロジェクトでは、牧野博士が採集した標本が現地の保全活動を支える「証拠」となり、羽生市の保全関係者にも実際に標本を見てもらう機会を提供している。

このように、標本館の標本や記録は、絶滅危惧種の保全や再導入の現場で活用され、環境省レッドリストに掲載されている多くの植物種の保護活動にも貢献している。

標本館が管理する学術的価値の高い希少種の標本は、各地の保全活動の指針となり、過去の分布や生育環境を知るための重要な資料となっている。ムジナモをはじめ牧野博士が発見・関連した植物の保護活動は、各地の自治体や大学などとの連携も進められている。
これからも、東京の植物相の研究も進められ、一般の方との共同作業をもとにその広がりを見せている。

 

牧野標本館と植物分類系統学研究室

標本の作成と研究設備

牧野標本館の植物分類系統学研究室では、植物の標本作成からDNA解析、文献調査まで、幅広い研究が行われている。その一部ではあるが、その施設や役割について見ていこう。

まず、標本作成室では、採集した植物を机の上で標本に加工し、乾燥させた後、大きなオーブンでさらに乾燥処理を施す。野外で採取した植物だけでなく、栽培や人工気象器で育てた植物も標本として利用され。場合によっては、生きたまま圃場に持ち出して観察に使うこともある。また、植物の切片を作成するための道具がそろっており、解剖学的な特徴を調べる実験も行われている。

採集した植物を乾燥させるための大型のオーブン

採集した植物を乾燥させるための大型のオーブン

DNA抽出・解析室では、植物からDNAを抽出し、その品質や量を確認するための機器が設置されている。抽出したDNAは、PCRという方法で特定の部位を増幅し、解析に使用され、増幅したDNAの長さなども専用の機械で調べることができる。標本から得られたDNAの塩基配列を調べるためのDNAシーケンサーも備えてあり、これらのデータをもとに系統解析や集団遺伝学的な研究が進められている。これにより、植物同士の類縁関係や進化の道筋を明らかにすることができる。

DNAの確認のための装置

DNAの確認のための装置

PCRをするための装置

PCRをするための装置

DNAの塩基配列を調べるDNAシーケンサー

DNAの塩基配列を調べるDNAシーケンサー

 コンピューター解析室では、膨大なDNAデータを解析することで、従来の形態的な分類だけでなく、分子レベルでの系統分類や進化の研究が行われている。古典的な分類学に加え、最新の技術を駆使した研究が進められているのが特徴だ。

コンピューターで解析

コンピューターで解析

さらに、図書室・資料室では、現在の標本や文献だけでなく、過去の文献情報も調査している。これにより、植物の名前の変遷や生育場所の記録などを詳細に調べることができ、分類学研究に不可欠な基礎資料となっている。充実した図書や資料が揃っていることは、植物分類学の研究を進める上で非常に重要だと言える。

研究に必要な過去の文献が並ぶ

研究に必要な過去の文献が並ぶ

このように、牧野標本館の植物分類系統学研究室では、標本作成、DNA解析、データ解析、資料調査が連携して行われており、伝統的な方法と最新技術を融合させながら、植物の分類や進化の研究が総合的に進められている。

標本のデジタル化と公開への取り組み

現在、牧野標本館では約1,000点のタイプ標本およびシーボルト標本のデータベース化を完了し、web公開している。全標本のデジタル化の作業を進めているが、まだ全体の10~15%の進捗状況ではあるが、将来的にはすべての標本をデータベース化し、広く活用できる仕組みづくりを目指している。

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 標本のデジタル化は、写真撮影とラベル情報の抽出を組み合わせて進められている。これにより、オンラインで標本を見ることができ、遠隔地からも研究や教育に活用できるようになる。また、デジタル化によって標本の保存状態を良好に保つことができ、劣化や損傷のリスクを減らす効果も期待されている。

今後の展望と次世代へのメッセージ

東京都立大学 理学部生命科学科 教授 / 牧野標本館 高山浩司 館長 

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今後の展望と次世代へのメッセージについて

ー髙山館長は
「植物標本に根差した多様性研究の推進と、未来の研究者の育成を標本館の使命と位置づけている。また、個人が集めた標本の散逸を防ぐセーフティーネットとしての役割も担い、標本のデータバンクとして世の中に貢献できる標本館を目指している」とお話いただいた。

また、「牧野富太郎博士が採集した標本の中には、今や絶滅危惧種や絶滅種となった植物も多く含まれており、博士が採集した当時は想像もしなかったことだが、50年・100年後にその標本が貴重なデータとなることは、標本を未来へつなぐ意義そのものだ」
とのべられ。

最後に、「植物標本を通じて、学生や研究者、市民と交流し、野外で植物を観察する楽しさや発見の喜びを伝えていきたい」と語る。
牧野富太郎博士の精神は、標本館の活動を通じて、地域社会と次世代へと確かに受け継がれている。

最後に

牧野標本館は、牧野富太郎博士の「知」と「精神」を現代に受け継ぎ、地域社会や次世代との絆を育みながら、日本の植物多様性と自然保全の未来を担う拠点である。標本という「証拠」を守り、活用し、伝えることで、私たちの豊かな自然と文化を未来へつないでいくのだと感じた。

 

参考リンク
埼玉県庁 知事コラム ムジナモからネイチャーポジティブの実現へ  
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0314/sainokuni/sainokuni-kensei-202506p01.html   
東京都立大学 牧野標本館公式サイト  
https://www.makino.tmu.ac.jp/
NPO法人 野生生物調査協会・NPO法人 Envision環境保全事務所
日本のレッドデータ検索システム
https://jpnrdb.com/index.html 

取材協力:東京都立大学 牧野標本館

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